内容証明の書き方
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A 確かに3枚一組でカーボンで書き写されていたり、3枚同じものがプリントアウトされていたりしますね。
これは内容証明を出すことによって3つの分野の主体がかかわってくるからなのです。自分・相手方・そして郵便局です。
内容証明を郵便局に提出すると、形式的な審査のうえ3部ともに局長の証明文・通信日付印が押されます。
1部は相手方に送付、1部は自分に、そしてもう1部は郵便局に保管されます。相手方に行くものを特に内容文書他の2部を謄本と呼び分けます。これが典型的な普通内容証明郵便と呼ばれているパターンです。
・・・・郵便局に保管されるものが意外にも謄本とされるんですね。
A 確かにそのままでは足りなくなってしまいますよね(^^ ですからこの場合、内容が同じであるのならば
相手の数だけ内容文書を増やしてやれば良いのです。例えば受取人が3人であれば、内容文書は3部・局用と
自分用の謄本で2部=5部、つまり、相手方の数+謄本2部と憶えておけばよいでしょう。これは普通内容証明に対して同文内容証明と呼ばれているものです。そして、この同文内容証明も2つに分けられるのですが、それはまた後に説明致しましょう。
つまり、内容証明には普通内容証明+同文内容証明2種類=3種類のパターンがあるということです。
A “行き先が違うんだ”ということは先に述べましたが、それ以外実務上覚えておきたいのは、当事者(つまり差出人も受取人も)の住所・氏名は謄本側に必ず全ての分の記載が求められますが、内容文書(つまり受取人へ送付されるもの)については必ずしもそれは求められていない、というポイントです。つまりこの部分については、謄本と内容文書とで違っているものが在り得るということです。また、このことによっていろいろな出し方も考えられることにもなってきます。
よく目にする典型的な内容証明は、内容文書にも謄本と全く同じく(同一に)住所・氏名を記載した場合と言いかえられます。結果、コピー式に3部一気に作成してしまうというわけです。・・・・このあたりのポイントを押さえておけばよいでしょう。
A 内容証明のイメージは、赤いマス目に仰々しい装飾を持ったあの用紙ですが、市販されていて誰でも入手可能です。しかし、用紙はあれを使え!と決まっているわけではありません。じつは意外とどんな用紙を使おうがよいのです。
レポート用紙だろうが桝目無しだろうが構いません。しかし、郵便規則上、1枚に書ける総文字数や行数、1行あたりに書ける文字数が決まっておりますので、それを特段気にすることなく書いていけるものとして市販の内容証明書用紙が普及している、というあたりが現状のようです。
普通内容証明であれば同じものを3部用意するわけですが、カーボン書き、ワープロ等によるプリントアウト、また手書きで同じものを書いてもOKです。
A まず 1行は20字以内そして1枚は26行以内 ということです。つまり1枚あたりの書き込み可能字数は520字ということになります。“以内” ですので、例えば作文用の20行400字詰原稿用紙でもよいわけですね。
もちろん横書きでもOKです。この場合には1行26字以内1枚20行以内か(縦書きの内容証明書用紙を横に書いてしまうということになります)或いは、1行13字以内1枚40行以内ということになります。
A 残念ながら内容証明の中では絵や図表をつかうことはできません。また、資料や証拠写真などを添付することも許されません。内容証明は決められた文字または記号によって記載されていなくてはいけないのです。
詳しくは・・・
仮名→ひらがな及びカタカナです。
漢字→ただし日本語としての使用に限ります。つまり、中国文や韓国文はダメです。
数字→算用数字 123 はもちろんのこと、漢数字 一二三 や 壱弐参 も使えます。
英字はどうでしょうか?これには少し注意が必要です。使用できるのは商品の名前や地名、氏名や会社名などのいわゆる固有名詞に限られます。 SONY VALUESTAR THE BEATLES などです。
英文は記載できません。例えば・・・
I LOVE YOU と彼は言ったのです。 とは書けません。
アイ ラブ ユー と彼は言ったのです。 と書くことになります。
カッコや句読点、一般的に記号として使用されているもの→「」 ( ) 、 。 ・ ? ! * % 等です。
自然化学分野等の各種単位や符号、単なる略語などで何を表しているのかが誰にでも明白なもの→
Km 2字 u 2字 Iog 3字 FAX. 4字 √4 2字 NO. 3字
簡単な囲み文字、傍点や線引き文字→D 2字(一マスに書いても) それ 2字
こういったルールに則った文字等のみが使用できるというわけです。
内容証明の愛想のないクールな印象に一役かっているものといえるでしょう。


A 基本的に1個1字です。句読点も記号も1個1字です。
注意すべきものとしてはカッコです。これは1ペアで1字として扱います。そしてカッコの閉じが後の行に言った場合、字数計算上は先のカッコのある行のものとして算入します。つまり、カッコの存在が2行に渡ったとします、この場合、見た目の字数は先行20字後行21字となっていますね。しかし、後ろのカッコは先行の字数に算入されることになりますので、先行20字後行20字と見なされて規定は満たせるというわけなんです。
カッコを使った文字で (1) のようなものがありますが、これもやや扱いが特殊なのです。文中の序列を表していて記号と認められる場合には1字としての扱いになりますが、それ以外はカッコのルールに従います。
(1)
(2) → 記号扱で (1)=1字となる。
(3)
しかし、上記(4)の件では・・・ → 通常のカッコで (4)=2字となる。
また、 それ のように線引きや傍点文字は線や点は無視して文字の数によります。
囲み文字は記号と文字の組合せということで2字となります。一マスに書いてあっても2字ということです。
2字
A 書き損じた場合ですが、訂正ができます。ただし改ざんはできません。
この違いはおわかりになるでしょうか?例えば6と書くところを5としてしまった場合、5の隙間をつなげて6をつくってはいけません。これは改ざんですね。(^^
内容証明の場合、郵便規則で訂正の仕方が決まっているのです。まず間違えた個所を2本線で消します。
このとき消した文字が判読できるようにしておかなくてはなりません。ですから、塗り潰し状態になってはいけないわけです。次にその横へ正しくした文字を表記します。しかし、これだけではまだ完成ではありません。訂正した説明を欄外に表記するのですが・・・
3行目2字削除2字加入 12行目2字削除4字加入 6行目2字加入 10行目1字削除
というように書き表し、それぞれに全差出人の印を押すことが求められます。
上記でわかるように、単に 3行目2字訂正 ではだめで、すべて削除・加入で説明して行きます。何行目と書いてあるので、末尾余白にまとめて書いてもOKです。また、この場合の削除・加入された文字自体は文字数の対象になりますが、説明に要した文字は算入の対象にはなりません。
では、縦書きで1行20字ギッシリと書いてあったところに、2字削除して4字加入したとしたらどうでしょうか?
1行が22字になってしまいますね・・ ですが、こういった場合に限っては1行あたりの文字数制限をオーバーしていても差し支えないものとして扱われています。ただし、訂正の結果1枚あたりの規定総文字数520字を超えてしまった場合には、原稿それ自体は使えますが料金計算上は2枚扱いとされてしまいます。(2枚目が100文字しか書いてなかったとしてもです。
A 訂正以外で差出人の押印が求められているのは契印と呼ばれているものです。
これは、内容証明が2枚以上になってしまった場合ホチキスやのりで閉じることになりますが、そのつなぎめに押すもので割り印ともいいます。訂正印とこの契印は郵便規則上求められているものです。
ところで、内容証明では差出人・受取人それぞれの住所・氏名を書くことを義務付けられています。たいていは文末に表記されますが、文頭にもってきても差し支えありません。そして差出人名の下に押印がなされているものです。ところが意外なことに、差出人名の下に押す印は規則上は要求されてはいないのです。ですからこれは正確には、押してなくても有効ということなのです。
ではなぜほぼ100%ここに押印がなされているのでしょうか?これは本人の意思表示をより明確にし決意を顕在化させるためといえるでしょう。実務上の要求によるものと言えます。
では、印鑑の種類はどうでしょうか?ご質問にもあるように実印であってももちろんOKですが、規定はありません。三文判であってももちろん結構です。
しかしここで、郵便規則上のことではなく実務上の要求として実印であるべき場合が存在します。
例えば、あなたが私にある行為を代理してできる権限を委任したいとします。そこであなたは、どういった権限を私に委任するのか書き記したものを私に発行するわけです。いわゆる委任状というものです。
そして、この委任状を内容証明を利用して私に発行することもできるわけです。
一般に委任状というものは、三文判で押印されてあってもそれ自体の効力には問題ありません。しかし、その内容証明で郵送されてきた委任状を見た相手が、
「これは本当に本人の作成したものなんですか?印鑑は100円ショップで売ってるやつだし、あなたの自作自 演じゃないんですか?それと、これはいつ到達してんですか?(意思表示は基本的に到達した時に効力が発 生します)」と言われたりするとやっかいなことになってしまいます。
あなたが証言してくれれば問題ないのですが、何らかの理由であなたと連絡がつけられない場合には証明することが困難となってしまいます。
このような場合には、委任者(差出人)名の押印は実印でしてもらい、その実印を証する印鑑証明書を別便で送っておいてもらいます。そして、後で述べるように、私への配達(到達)日を確保するために配達証明も付けておいてもらいます。・・・・このように、実務上の必要性がある場合も存在するというわけです。
念書や、債権譲渡通知などもこれにあてはまります。
A いえ、、そんなことはありません。印鑑を持つ習慣の無い外国人であっても押印にかえてサインをすればよいことになっています。もちろん、言うまでもなく、内容証明の文章は日本語で書かなくてはなりません。また、外国に配達するわけには行きません。
A 差出人欄と受取人欄のことですが、先ほども述べたように文頭・文末であってもよいとされていますが、実務的には文末に持ってくることが多いといえます。そしてそれぞれの住所・氏名を書かなくてはなりません。差出人名の押印は先述したように無い場合であっても有効です。
では、「差出人」「受取人」とか「通知人」「被通知人」とかの肩書きは必要でしょうか?結論からいいますと、一般的に見てどちらからどちらへ宛てて出されているのかが明らかであれば特に必要はありません。わかりにくく書いてしまった場合には肩書きを付ける必要が出てきますが・・・通常、受取人の氏名の下には様とか殿とかが付きますので判別は容易であるはずです。
それよりも大切なポイントは、ここに書いた住所・氏名と内容証明(内容文書)を入れる封筒に記載される住所・氏名とは文字的にも一致していることが要求される、というところです。(郵便番号は封筒側のみでよい)
なお、ここでいう住所等は厳密な意味での住民票や登記簿記載どおりを要求しているものではありません。
A 同じ内容の文書を送るとした場合、差出人は何名であろうとも1通でいけます。
ただ注意すべきポイントは、差出人の住所・氏名は全員を書くこと、訂正印・契印も全員が押印すること、封筒の差出人欄も全員の住所・氏名を記載すること、です。
A 連帯保証人が2人いるような場合などに同じ文面のものを送りたい場合がでてきます。それぞれに3部構成のものを2通つくって普通内容証明として出すことももちろん可能です。
しかし、内容証明料金や効率のことを考えた場合、先にものべてたように、相手に行く文書(内容文書)を相手の数だけつくって、この場合でいえば4部構成のものを1通つくってやればよいわけです。これが
同文内容証明というものです。
そして、この同文内容証明にも2種類あるといいましたが、それは、
完全同文内容証明と不完全同文内容証明と呼ばれているものです。
普通内容証明

3部構成で1通=受取人は1人のみが対象

完全同文内容証明
同文内容証明
受取人数+2部で1通

不完全同文内容証明
先に、相手に行くもの(内容文書)と自分と郵便局に残るもの(謄本)とでは、差出人・受取人欄の記載に違いがある場合があると説明しましたが、詳しくは内容文書の側に差出人・受取人の住所・氏名の全部または一部が記載されない場合があるということです。もちろん、全部を記載しても良いですし、よく使われる普通内容証明はこのパターンをとります。
「全部が記載されなかったりしたら、誰が誰に出したかわからんじゃないか?」
そう思われるかもしれませんが心配はいりません。証明するのは郵便局にある謄本であるからです。
この謄本(差出人用・局用)には当事者欄は必ず書いてあるからです。そして、内容文書はこの謄本によって“その内容が一致していますよ”と証明されたものであり、相手方に送付されるこの内容文書が入れられている封筒には、謄本に書いてある差出人・受取人の住所・氏名が一致していないと証明を受けて送付をしてもらえません。ですから、誰が誰に出したか?ということは謄本によって立証可能ということになるのです。
少々ややこしいですがこういった使い方もあるということです。
しかし、普通内容証明で出す場合にはこの方法は実務的にはほとんど使われていません。
この方法によれば、内容文書だけ少々別に作らなくてはなりませんし、そのわりにはメリットがあまりないからです。つまり、3部同じものを一気に作ってどれを内容文書にしても謄本にしても通用する方式がよいわけです。
しかし、受取人が2人いて同文内容証明で出そう!という場面ではガゼンこの変則方式が活躍するのです。例えば先の例での連帯保証人
A・Bの
住所・氏名をそれぞれ
A・B、あなたを甲として
住所・氏名を
甲とします。
完全同文内容証明の場合 →→→→→→
A・Bの受取人両方に同文の内容証明を出す場合にこれを使います。
(計4部作成)
Aに行く内容文書 Bに行く内容文書 局・甲用の謄本(2部)
A用の封筒 B用の封筒
これが典型的な
完全同文内容証明です。つまりAとBの内容文書が同一の状態です。
この場合
AにもBにももう一方に内容証明が送付されたことがわかります。仮に
Aと
Bが同じ住所であったとしても、一つの封筒に内容文書2部を入れることは許されません。それぞれの封筒を用意しなくてはいけないのです。もし
A・
B2人に1部で事足りる場合には封筒1部に内容文書1部を送付すればよいわけです。
つまりこれはもはや、普通内容証明ということになりますが・・・。
不完全同文内容証明の場合 →→→→→→
A・
Bに同文の内容証明を送る場合に、それぞれの住所・氏名を連名で記載したくないときにこれを使 います。 (計4部作成)
Aに行く内容文書 Bに行く内容文書 局・甲用の謄本(2部)
A用の封筒 B用の封筒
これが典型的な
不完全同文内容証明です。
よく見ると
Aと
Bとの内容文書が受取人の部分で違っています。つまり“不完全同文”というわけですね。
これを使った場合
A・Bそれぞれは自分以外に誰が内容証明を受取ったのかがわからない、ということになります。そして、不完全同文内容証明の場合には謄本の差出人欄の前に図のように 連記 と書き加えます。(文字数には不算入)
また、完全同文内容証明で、内容文書に受取人の住所・氏名のみを省略する(この場合でも
Aと
Bの内容文書は同一なので完全同文となる)パターン等バリエーションは他にもありますが、代表的な上記2つを押さえておけばよいと思われます。
A それも可能です。基本的には2つの形式が一般的です。
1・文中で「私は、OO県OO市OO町OO番地OO号田中一郎の代理人としてご通知申しあげます。田中一郎は・・・」というように、代理文句を書く場合です。この場合の差出人欄の住所・氏名は
名古屋市中村区OO3丁目O番O号
山田太郎 というように代理人のものをそのまま記載できます。
また、或いは、
名古屋市中村区OO3丁目O番O号
田中一郎代理人 山田太郎 という記載になります。
2・代理文句を書かずに「田中一郎は貴殿に対し、平成一三年・・・・」と書き出す場合には
OO県OO市OO町OO番地OO号
田中一郎
名古屋市中村区OO3丁目O番O号
右代理人 山田太郎 というように、本人と併記して記載しておくことになります。
上記以外でも、「私(田中一郎)は貴殿に対し・・・・」というように本人の人称を使って書いて、上記2のように併記して記載する場合も考えられます。
ただこの場合、登場人物いかんによっては誰の代理人なのかがわからなくならないよう注意が必要です。
代理人によって出す場合には、印鑑はすべて代理人のもので行きます。
また、送付の封筒の差出人欄も代理人のものを記載しますが、後に述べる配達証明書の受領を本人宛にしたい場合や配達郵便受領証を本人名にしておきたい場合などには、本人の住所・氏名を記載して代理人氏名を併記する方法も適宜認められているようです。
A 賃貸借契約解除通告書とか貸金返還請求書など具体的名称が付けてある場合もありますが、この文書にはこの表題、というように法定されているわけではありません。もちろん、誤解や矛盾を生じさせるようなタイトルは論外です。内容的には謝罪をしているのに「最後通告書」では誤解を生じます。
内容証明にはたいていタイトルが付けられていますが、多いのは、「通告書」「通知書」「請求書」「催告書」「回答書」などの包括型です。もちろんタイトルの無いものでもOKです。
A 普通の手紙の場合には、時候の挨拶などがあってまろやかな感じをもたせるものですが、内容証明ではその目的からして贅肉としてカットされることがほとんどです。
しかし、書いてはいけないなどと決まっているわけではありません。受取人にキツイ感情を伝えたくない場合などには挨拶文を敢えて入れることもよくあります。またこんな場合には、タイトルを省略し使う用紙も工夫したりします。
A 基本的に、内容証明はルールに則り自己責任^^がとれれば何を書いてもよいわけですが、一般的には以下のポイントがあるといえます。
1・基本的な構成として・・・・
a 事実・権利関係を明確にする。
あなたと相手方とのあいだにどのような事実や権利関係が存在したか、或いは存在しているの
か、という一定の事実関係を明らかにします。
この設定に誤りがあるとすべてが成り立たなくなってしまいますので十分な注意が必要なところ
です。
b 意思表示を展開する。
事実や権利関係を踏まえてあなたの考えを明確に表明します。
c 結論としての要求
相手に求める行為などあなたの要求等を伝えます。
a故にbである。よってcを求める。というような論法です。
2・明確に書くことを心がけ、余分なことは書かない。
内容証明を書くことは文学作品を書くこととは違います。意思表示や要求は明確にし、余分なことを書いてピントがぼけたり相手に得点を与えたり増してやオウン・ゴールをしてしまってはいけません。
3・正確な事実の把握と法律的な根拠を調べておく。
4・作成(意思表示)の年月日を入れておく。
これは作成のルール上で必ずしも要求されているわけではありませんが、実務上の常識です。
もしこれを記載し忘れたとしても受け付けてもらえますし、証明のときに押される通信日付印によって差出日の証明は可能です。
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